2021.01.22
エンジニアなのに不動産の営業?私が不動産会社で電話営業を2カ月した理由
私は2015年に新卒でエンジニアとしてファーストロジックに入社し、
・累計利用回数170万回を誇る機能の企画〜実装
・18.5万人に利用されているスマホアプリの開発
などに携わってきました。
やりがいのある開発案件をたくさん経験してきましたが「中でも一番印象に残っている仕事はなんですか?」と聞かれたら、迷わず不動産会社で電話営業をした仕事を挙げます。
「エンジニアが営業?しかも不動産会社で、ってどういうこと?」と混乱される方も多いと思いますので、詳しく説明したいと思います。
なぜ不動産会社で電話営業を?
エンジニアとして3年ほど勤務した頃の話です。次の仕事として「多くの不動産会社に使ってもらえるようなサービスを開発する」という仕事を任せていただきました。ほとんど何も決まっていないような状態からのスタートであり、企画から考える必要がある仕事です。ああでもないこうでもないと日々ウンウン唸っていました。
そんな中、よく考えたら自分はユーザーである不動産会社のことを何も知らないのでは?ということに気づきました。私は今までエンジニアとして仕事してきたので、不動産会社の方と会話した経験も数えるほどしかありません。そんな状態では不動産会社が喜ぶサービスなんて作れるはずがないと考えました。
良いサービスを作るためには、ユーザーへの深い理解が必要。ユーザーとなる不動産会社のことを理解するためには、自分が実際に不動産会社として働いてみることが一番手っ取り早い!と思い立ち、社長に相談をしに行きました。
そうは言っても簡単に許可は下りないだろうな…と半ばダメ元で「不動産会社の仕事をやってみたいのですが…」と相談したところ、まさかの「いいんじゃない?やってみよう」と快諾。営業部の部長にも協力してもらい、楽待を利用している不動産会社に掛け合って働かせていただくことになりました。
行く先が決まったので同じエンジニアのメンバーに「実は来月から不動産会社で営業をすることになって」と伝えたところ、あまりに突然過ぎて冗談だと思われてしまいました。いよいよ行く段階になって「えっあれって本当だったの!?」と驚かれました(笑)。
どんな仕事をしたのか?
実際に不動産会で行った仕事は大きく2つ。
(1)マンションのオーナーに電話して「物件売りませんか?」という電話営業
電話営業は、今まで営業をしたことがない私にとって新鮮でした。営業先の顧客リストのバインダーを5冊とピンクの携帯電話をもらい、片っ端から電話をかけて「物件売りませんか?」と聞いていきます。それを1日4時間です。はじめは電話を掛けるのに緊張し、なかなか踏ん切りがつかない状態でしたが、一緒に働く営業の方々から「電話は慣れだから、ためらってないでとにかくどんどんかけな!」というアドバイスもあって徐々に慣れていきました。
(2)不動産会社の業務の流れをまとめた資料を作成
今後入社する人に見せて業務を早く覚えてもらえるように、と作ったものです。(1)の仕事からも分かる通り、不動産会社での仕事は大変な仕事も多いため、人の入れ替わりが激しい業界です。頻繁に入れ替わるのに1人1人丁寧に口頭で教えるのは非効率なので資料にまとめたい、という要望を受けて作成しました。不動産会社の仕事を理解したいと思っていた私にとっては最適な仕事でした。
2つの仕事から学んだのは「BtoCの営業ってこんなに大変なのか」ということです。電話をかけても、そもそもほとんどは繋がりません。繋がったとしても不動産会社の営業だと知るとすぐに断られ、本題に入れないまま切られてしまいます。ひどい時には「二度とかけてくるな!名前覚えたからな!」と怒鳴られたことも。怒鳴られるのが嫌で、電話が繋がらなかったときは正直ホッとしてしまいました。
1時間に30件程度かけるので1日120件くらい電話するのですが、90件はつながらず、29件は即断られ、1人がようやく話を聞いてくれる、というような仕事でした。断られ続けると精神がおかしくなるのか、なんだか逆に楽しくなっていたのを覚えています(笑)。精神的に疲れるためか、その日の仕事が終わって帰ったらすぐに寝てしまうため、夜10時には寝る健康的な生活になっていました。
この経験は仕事に役立ったのか?
この営業体験は2カ月ほど行いましたが、得たものは非常に大きかったです。自信を持って業務に役立つ経験だったと言えます。
(1)楽待のユーザー像をはっきりイメージすることができた
今まではイマイチ想像しづらかった「不動産会社の営業マン」という方々が、顔まではっきりと思い描けるほど具体的にイメージできるようになりました。例えば何歳でどんな髪型をしていて、何が好きで何が嫌いなのか、等々…。ものづくりをする上で、ユーザーをイメージできることのメリットは計り知れません。「不動産会社で働く営業マンなら、きっとこういう機能を喜んでくれるはずだ」という思考ができるようになりました。
(2)不動産会社の仕事を理解できた
不動産会社がどういう流れでどんな仕事をしていて、どのくらい時間をかけているのかを理解することができました。おかげで「不動産会社のこの仕事を効率化するサービスを作れば使ってもらえるのでは?」という思考のもと、開発案を出すことができるようになりました。
(3)不動産会社の社員と仲良くなれた
一緒に働かせていただいた社員とは仲良くなり、今でもたまに飲み会にお呼ばれすることもあります。最近の不動産会社の状況など、リアルな情報を教えていただけるようになりました。
◇
今回はたまたま、私の要望と会社が私に求めることが重なったので認めてもらえましたが、社員がやりたいと言ったこと全てを叶えられるわけではありません。
とはいえ、ここまで貴重な経験をさせてくれる会社はなかなかないと思います。「そんな会社で働いてみたい!」と思っていただけたのであれば、ぜひエントリーの上で選考にお進みください!説明会などでお話する機会があれば、ここに書ききれなかった苦労談などもお話したいと思います。