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2025.11.28

営業部 新卒社員 研修・教育 社風

なぜ「公正な不動産投資市場」を創るのか。現場で私がその意味を痛感した話

楽待は不動産投資を行う投資家と不動産会社をつなぐサービスを運営しています。その中で掲げているビジョンが「公正な不動産投資市場を創造する」です。

なぜ「公正な」不動産投資市場が必要なのか。
そして、なぜそれを当社が担おうとしているのか。

今回のブログでは、その問いに対する社員からの生の声をお届けします。当社のビジョンについて深く理解することができる内容になっているので、ぜひご覧ください。

早稲田大学大学院を卒業し、2015年新卒で当社に入社したKです。入社後は開発部でエンジニアとしてサービス開発に携わり、その後はジョブローテーションでマーケティング、人事などさまざまな業務を経験してきました。現在は、取締役 管理部部長を務めています。

さまざまな業務を経験してきた私が、「なぜ公正な不動産投資市場が必要なのか」を強く意識するきっかけとなった出来事をもとに、当社のビジョンの必要性についてお話しします。

現場を知らないままでは、本当に役に立てるサービスは作れない

2018年のことです。私は開発部のエンジニアとして、不動産会社向けの新サービスの企画と開発に携わっていました。ところが、仕事を続けるうちに、ある違和感が大きくなっていきました。それは、「不動産会社の現場を知らない私が本当に役に立つサービスを作れるのだろうか?」という思いです。

頭の中でどれだけ良さそうなアイデアを考えても、実際に現場で働いている方たちがどのような方たちか分かっていない。何に困っているのかを知らなければ、本当に役に立つサービスは作れないのではないか? という思いが強くなっていきました。

「知るには、そこで働くのが一番だ」そう考えた私は、上長に許可をとり、不動産会社にお願いをし、不動産会社に 2カ月間「出向」することにしました。不動産会社の営業担当と同じオフィスに行き、同じ目標を追い、同じように営業電話をかける。不動産会社の社員として働きながら、現場の空気を丸ごと体験することにしたのです。
そこで最初に任されたのが、「物上げ(ぶつあげ)営業」という仕事でした。

「物上げ営業」とは

簡単に言うと、すでに不動産(マンションや一戸建てなど)を持っている個人の方に電話をかけて、「不動産を売りませんか?」「売却のときは、ぜひうちの会社に任せてください」と提案する営業のことです。

不動産会社は「家を売る」というイメージがあるかもしれませんが、実は「売る家を仕入れる」という仕事もあります。不動産会社にとって、売るための「商品(物件)」がなければビジネスは始まりません。そのため、買いたい人を探すだけでなく、商品である物件を仕入れるために「売りたい人」を探すための営業活動を行っている会社もあります。
この営業を通じて、多くの不動産オーナーの方の事情や背景に触れることになりました。

親身に話を聞いてくれるAさんとの出会い

出向先の不動産会社で物上げ営業をしていたある日、いつものように営業電話をかけていると、とても親身に話を聞いてくださるAさんという方に出会いました。

Aさんは、投資の専門家でも裕福な資産家でもありません。高校1年生のお子さんがいる、ごく普通の会社員でした。会話をしていく中で、Aさんは2013年に別の不動産会社から「老後の年金代わりになりますよ」と勧められ、2000万円のマンションを購入したことを教えてくれました。

しかし実際には、そのマンションは毎月3万円の赤字を出しており、家計の負担になっているという状況でした。将来の不安を少しでも和らげたいという思いから始めた不動産投資が、逆に今の生活を苦しめる要因になってしまっていたのです。

これからお子さんが大学受験を控えており、何かとお金が必要になるため、「高く売却できるならそうしたい」とおっしゃっていました。私はこの話を聞き、すぐに出向先の不動産会社の社員にマンションの査定を依頼しました。しばらくして返ってきた査定額は「1400万円」。購入価格は2000万円なので、別の不動産会社から不当に高く買わされていたのです。

「この事実を伝えるのは酷かもしれない」そう思いながらも、私は査定額を正直にお伝えすることにしました。

電話越しの沈黙と、社員の反応

Aさんに査定額を告げると、受話器の向こうからは沈黙だけが返ってきました。その後も、私が何をお伝えしてもため息しか返ってきません。
あれほど親身に話してくださっていたAさんが、最後には挨拶もなく電話を切りました。

私の中には悔しさとやるせなさが、重く残りました。

この出来事を、隣の席にいた出向先の不動産会社社員に話すと、返ってきたのは「この仕事してるとよくあることだよ。馬鹿だよね〜。それより次の電話をかけよう」という言葉でした。私はこの一言に、さらに衝撃を受けました。

Aさんにとっては老後の生活に直結する重大な出来事です。しかし、現場で日々営業をしている社員にとっては、それが「よくあること」として扱われている。

Aさんのケースは、たまたま起きた特殊なトラブルではありません。不動産業界の情報の非対称性により、日常的に起こり得る出来事なのだと気づきました。この瞬間、私の中で「これは個人の自己責任だけで片付けてはいけない問題だ」という感覚が強く芽生えました。

それまでの私は、不動産投資について、「お金持ちが余裕資金でやるもの」というイメージをどこかで持っていました。しかし現実は、Aさんのように家族の将来への不安を減らしたい一心で始めた普通の会社員のように、家計を圧迫する深刻な負担を背負わされている人がいるのです。しかも、その中には、相場より明らかに高い金額で買っている人が数多くいます。

この体験は、「公正な不動産投資市場を創造する」という楽待のビジョンは、単なる理想論やきれいごとではなく、現実に必要とされている使命なのだと、腹の底から理解するきっかけになりました。

なぜ楽待がビジョン実現に取り組むのか

最後に、なぜ「公正な不動産投資市場を創造する」というビジョンに当社が取り組むのかという話をします。

1.立ち位置
楽待が不動産投資家と不動産会社の「中間」に立つプラットフォームだからです。一般的に不動産会社の収益のしくみは、安く仕入れて高く売るほど利益が出る構造です。利益を最大化したい会社側が高値で不動産を販売し、結果としてAさんのような方が生まれるリスクがあります。

一方で、当社は物件を直接売買する当事者ではありません。 あくまで投資家と不動産会社をつなぐプラットフォームとして中立的な運営をしています。物件の売買で利益を得ているわけではないため、どちらか一方に偏ることなく、不動産投資のネガティブな情報や、客観的なデータを提供することができるのです。

さらに、当社が運営する「楽待」は収益物件数や利用者数で業界最大のサイトです。 多くの不動産会社が楽待を利用しているからこそ、当社には強い影響力があります。もし不適切な対応をする企業があれば、取引停止などの措置をとることができます。業界No.1である当社が率先して取締りをすることが、市場の健全化につながると考えています。

2.仕組み
当社のビジネスモデル自体が、市場の透明性を高めるほど価値が増す構造になっているという点も理由のひとつです。
情報の非対称性を是正し、投資判断に役立つツールやノウハウなどの情報を提供すればするほど、不動産投資を検討できる方が増え、「楽待」のサイト利用者が増えます。利用者が増えることでサービスの価値が向上し、楽待を利用したい企業も増えます。公正な不動産投資市場づくりに取り組むことで、当社の事業成長にもつながっていきます。

3.覚悟
3つ目の理由は、業界の課題を「自分ごと」として本気でビジョンを実現しようとする社員の覚悟が、当社の中に根付いていることです。
出向を通じて私が強く感じたのは、Aさんの状況を聞いても「馬鹿だよね〜」という一言で終わらせてしまい、業界の在り方そのものに違和感を覚えないまま日々の営業を続けている人たちがいるという現実でした。
もし会社全体がそうした空気に染まっていれば、公正な不動産投資市場を創造することは難しいだろう、と強く感じました。

一方で当社では、同じような現実を見たときに「それはおかしいのではないか」「このまま放置していいのか」と自分事として捉える社員ばかりです。代表だけではなく、社員一人一人がビジョンを意識していることが、組織として大きな原動力となっています。

「公正な不動産投資市場を創造する」というビジョンは、単なるスローガンではなく本気で取り組むべき社会の課題です。「仕事を通じて社会に貢献していきたい」「正しい情報が届く仕組みをつくりたい」このブログを読んで、少しでもそう感じていただけたなら、ぜひエントリーをお待ちしています!

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